- 2007-08-15 (水)
- ART特集
この奇妙なこどもたちの写真。どこか違和感を感じずにはいられない、これらを撮ったのはドイツの女流写真家、Loretta Lux(ロレッタ・ラックス)です。彼女はデジタルという最新の技術を駆使しながら自らの世界観を描き出す作家。よく見てみると、背景との調合に違和感を感じます。そう、彼女はこどもたちを撮って、その写真を人物のラインに沿って切り抜き、違う背景にPC上で合成しているのです。この手法は、あたかも「不思議の国のアリス」でアリスが薬やクッキーを食べて背が大きくなったり小さくなったりするように、本来の均衡のとれた世界とは一歩離れた、おとぎの国であるかのような表現を可能にしています。
ドイツの写真家たちはこのように、本来であれば伝統とは間逆のものとして異端として扱われているデジタルをなんの抵抗もなく表現手段のなかに取り入れたりと、なかなかにして興味深い実験を重ねています。アンドレアス・グルスキーなどもそうです。彼らのそうした経緯を見てみると、もはや写真家は純粋に写真のみを追い求めるものではなくなったのではないか、とも捉えることができます。表現芸術の中での「写真」というツールを使って「アート」する。つまり、「写真」で「写真」をする時代ではなく、「アート」する上での「写真というツール」に。もはや写真も「絵にとっての筆」のような存在になってきているということです。おもしろい時代になってきたと思います。
LINK → Loretta Lux Offical
Posted by TOMO (keiichi nitta studio)
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